長期間の入居が前提

戸建て賃貸は良くも悪くも長期契約が肝となっています。

入居者は10年単位の長いサイクルで入れ替わりをすることになりやすいのがこの土地活用のポイントですが、その法則が崩れた場合はやや問題が出てきます。
賃貸住宅は新たな入居者を迎え入れる前にリフォームをするのが古からのお約束になっていますが、一軒家はその費用が大きくなってしまいます。

アパートでもリフォームはするのですが退去した部屋だけなのでそこまでのコストはかからず、短いサイクルで入れ替わっても大きな負担にはなりません。 でも戸建て住宅をリフォームするとなると広範囲に及ぶ作業になるので、百万円を下る金額に収めることは難しいでしょう。
それなのに2~3年で住民が入れ替わってしまうようだと家賃収入に対してコストが多すぎとなり、収益性が悪化してしまいます。 長く住んでくれない契約者が続くと予定していただけの利益を得ることができない場合もあるので、この点はアパート経営よりもリスクが高くなります。 長期間住んでもらえそうな契約者を探すことが肝心となるのですが、慎重に選ぶのは借り手の立場であっても同じことです。
少なくともヘビ年を2回迎えるまではここに住むぞ、そう意気込んで物件選びをするので簡単に契約を決めることはできません。 なので一旦退去して空き家になったらすぐさま次の希望者が契約を、とトントン拍子に物事は運ばないでしょう。
最低でもリフォーム期間として1ヶ月から2ヶ月は営業を再開できませんし、もしもそのせいで引越しシーズンのタイミングを逃してしまったら1年近くそのまま空き家で収入0円が続くことも想定しておかねばなりません。

いくら需要のある戸建て賃貸でも一年中物件を探している方がそう何人もいるとは考えられませんし、春先の引越しシーズンを過ぎてしまうと契約してもらえる可能性は一気にダウンしてしまい、場合によっては家賃をディスカウントしてでも契約者を探す羽目にもなるでしょう。
新築住宅の建売ならば春でなくてもお探しの方はいるし年中虎視眈々と広告をチェックしていらっしゃるでしょうが、賃貸はそうではありません。 希望者のピークは3月から4月に集中しており、それを過ぎると値下げしないと借り手を見つけられない物件も多いのです。
一旦入居者が決まれば安定した家賃収入を得られますが、契約が終わって退去するタイミングで多大なコストが発生するのと、しばらくの空白期間が発生するのが戸建て賃貸の問題点なのです。

軌道に乗っている間は安心して見守っていられますが、歯車が噛み合わなくなった瞬間から不安に苛まされる、このドキドキが堪りません。 契約時に「10年間以上ここで暮らしてくださいね」といった条件を付けることはできませんし住民にも都合はあるでしょうから、強制はできないし時の運と思うしかありませんが、短期間で入退去を繰り返されると凹んでしまいそうです。
またそのタイミングでのリフォームとは無関係に、庭に植木なんかがある場合はその管理をオーナー負担で行うことになります。 植木がボサボサになってきたら自らの手で刈るか、業者に依頼してスッキリさせるのが大家の仕事なのですが、そこで発生する費用は当然大家が負担することになります。 業者に頼むと年に数万円の出費になりますし、決して安い額ではありませんのでこれも計算に入れて事業計画を立てなければなりません。
まあこの類のランニングコストはマンション経営でもアパート経営でも付き物ですし、戸建て賃貸に限った話ではありませんのでそう気にされることもないでしょう。 同じような問題には近隣住民とのトラブルの仲裁、といったこともありますが、これも他の不動産投資でも無縁の話ではありません。
この賃貸経営特有の問題はやはり長期契約が前提ということだけでしょう。